IP Messenger for MacOS X 今後の計画
再開した IPmsg OS X 版のこれからの開発の方向性について、考えていることを書き留めておきます。
個人での開発なので随時軌道修正されていく可能性はありますです。
大きくは、
- 現行アプリの改善
- 新しくゼロから作り直し
の二つの開発を(両方ともやることを)考えています。
現行アプリの改善。
現在(2009/09/18)、0.9.1b2 が最新です。これをいったん完成させたいと思います。
現行アプリは、そもそもがオリジナルである Windows 版と見た目や使い勝手が似たものを作る、ということが前提になっています。Mac としてはちょっとどうなの?と思うボタン配置やウィンドウレイアウトなども、Windows 版との違和感を少なくするためです。私自身開発に着手するよりずっと前から日常的に Windows 版を利用して気に入っていて、まさにクローンと呼べるようなソフトを作りたかったということもあります。リスペクト?的な?(笑)。それはちょっと偉そうで違うかな。
ということで従来のソースコードをベースに、不具合を改修して、入れておきたかった機能を無理のない範囲で入れて、Windows 版 2.x(今の時点では 2.06 が最新)との互換性が高い安定版のような位置づけで考えています。現状から大きな機能追加はしないつもりです。
現行アプリの未完成な部分というのは主に以下のものが挙げられると思っています。
- 最新 OS あるいは Intel Mac での動作不具合
- Windows 版にあって未実装の機能(通信暗号化)
- 細かい使い勝手の改善
- 新しいライブラリへの対応(レガシー API の排除)
- ドキュメントやヘルプの未整備
0.9.1 は現行 OS での不具合の修正のみにして、動かなくなっていたり挙動のおかしい部分を直して、なるべく早めに出したいと思っています。近いうちに不具合を洗い出して整理し、作業をすすめます。
次に、暗号化通信や細かいところの修正、内部の修正などを行って、1.0.0 にしたいな、と。OS X 10.3 Tiger 以前用として 0.9.0 を残しますので、0.9.1 以降は OS 10.4 Tiger 以降に対応となります。10.3 以下を対象外として内部を整理することで、Snow Leopard からしばらくの OS メジャーバージョンアップでもメンテナンスが容易になると考えています(長く利用できるようになるはず)。
新しくゼロから作り直し。
現行版は MacOS X が 10.2 Jaguar の頃に作ったもので、現在では OS や開発ツールだけでなく、 Cocoa (フレームワーク・ライブラリ)や Objective-C(開発言語)も当時に比べると進化もしています。アプリケーションの開発ガイドラインや流儀も変わってきていますし、出来ることも増えています。現行版の延長で開発していては実現できない機能や使い勝手もあります。
それらを踏まえて、今時の Mac OS X 向けのアプリとして、IPmsg のプロトコルに準拠したクールなクライアントをスクラッチから開発してみるつもりです。今の時点で考えていることはとても曖昧でリストアップできるレベルではないのですが、Mac OS X らしい UI の動きやデザイン、最近の UI パーツの利用、自動アップデートチェックや Growl 対応といった機能面などなど。現行の改善版である 1.x と区別するために、2.0 系として作ることを考えています。
また、本家 Windows 版では 3.0 のアルファ版が ML で公開されて、国際化や本文のリッチテキスト化が検討され初めています。本家の新プロトコルが決まれば、それにもいち早く対応していきたいと考えています。
スケジュール。
仕事であればここで当然のように「いつまでに」というマイルストーンと「どれだけの工数と生産性が実現できるか」の開発計画を決めるわけですが、個人の開発なので時期は未定で作業順序のイメージだけ。採算とかあるわけではないので、工数(作業量)のことなんで考えません。
まずはとにかく不具合を直して 0.9.1 を出す作業を進めます。
次に未実装機能や残件の整理をして、現行アプリの完成版として 1.0 を開発します。
1.0 が出せたら(あるいは出す目処が立ってきたら)、2.0 の検討を進めます。イメージやプロトタイプなどで大まかな仕様を決め、開発を始めます。2.0 の開発はスクラッチから開発するのですぐにできあがるようなものではなく、長い時間かかると思います。その間も 1.0 系を引き続きメンテナンスしていきます。最終的に 2.0 が出来ても、やはり Windows 版クローンである 1.0 系が使いやすいといって 2.0 は使わない方もいるかもしれないと考えています(どれだけオリジナルと異なる UI になるかによるとは思いますが)。
そんな感じです。根拠はないですが1.0を年内あるいは年明け早いうちに終わらせて、2.0 は始めてみないと分からない、というのがおおざっぱなイメージです。
はじめてコメントさせて頂きます。
Snow Leopardを再インストールした際、IP Messengerを入れ直す為
サイトにアクセスしたらなんと開発再開されてるとは!
Windows版と比べるとMac版のシェアは低いかもしれませんが
私の回りのMacユーザは全員ishwtさんの開発されたIP Messengerを利用しています。
モチベーションなど色々大変な問題もあると思いますが
今後も無理なさらずに開発を進めて頂ければとても嬉しいです。
UIの件は確かにMacらしくないですね。
仰るとおり既存の物は1.0としてバグ対応のみで2.0で挑戦するのはとても良いアイディアですね。
私は2.0のMacらしいUIがでたらぜひ導入してみたいです。
# あと、せっかくMac版はObjective-Cで書かれてると思うので
# 「IP Messenger for iPhone」なんかどうでしょ。
# 実装はiPhoneの制約次第だと思いますが、社内の無線LANにiphoneを接続している人間が沢山いるので
@hrd さん
ishwt です。コメントありがとうございます。
タイミング良く気づいていただけてよかったです。
今後は開発が中断することがないように頑張ります。
しかし、iPhone版については頭はよぎったものの、
ニーズがあるとは考えていませんでした。
#私の会社は私物 iPhone を社内LAN に接続できないもので…。
時期は先になるかもしれませんが、面白そうなので前向きに考えてみます。
初めまして、たまたま検索していて辿り着いた者です。VerUpがあって驚きました(笑)
かなり昔からWin/MacでIP Messenger使わせていただいてますが、こんなに長い間使ってるソフトも珍しいです。社内での打ち合わせや愚痴のやりとりなどに大活躍しております。
iPhone版は「誰か作ってるだろうなぁ」と探しましたが見つかりませんでした。
机を離れての作業中などにも使えますし、MMS等より手軽にさくさくやりとりできるiPhoneMessengerが欲しいところです。
お忙しいとは思いますが、期待してお待ちしております。
@kext. さん
ishwt です。ありがとうございます。
おそらく、iPhone 版はそのサクサクつかうための UI がキモになるんでしょうね。
マルチウィンドウでない点や引用が多く使われる点、送信先のユーザ指定など結構練る必要がありそうです。そのあたりがクリアできると、Mac 版でもオリジナルとはまた違った UI を考えるきっかけになるかもしれません。
あと、iPhoneMessenger はかなりいいネーミングですが NatsuLiphone のように Apple の審査ではじかれますね(笑)。
お返事ありがとうございます。
UI自体はiPhoneOSで結構便利なモノが多いのでイケると踏んだのですが(プルダウンメニューでの送信先セレクトやMMS・着信の様な通知など)、いかんせん自分は移植する技術を持ち合わせておりませんので気長にお待ち致します。
P.S.審査通らないんですねー。iPhoneMessenger、略してiPmsgで良いのではないでしょうか(笑)
IPメッセンジャーfor_iphone
ぜひとも作ってほしいです!
ローカルIP内だけでiphoneとmac / win 両方のパソコンとの文字通信ができるアプリ、熱心に探してますが見つかりません・・。iphoneユーザばかりで使うならそれなりのアプリはありますが、うちらの需要は、基地局PCに対して移動局iphoneが1〜2台ウロウロ、WANなど繋がらないところで音声以外の通信できたらなあっていう感じです。
イベント会場で音量が大きいのでトランシーバやインカムが役にたたないし、身振り手振りで伝言するのも限度があります。
現場はころころ変わりますしただの空き地や地下でやることもあって、WAN無しで通信できないと話にならないので現状は無線LANや有線LANでを立てたPC同士で、IPメッセンジャー、もしくは、みんチャです。macユーザがそろえばichatのBonjourでビデオチャットを使うことがありますが、でもPCだといくらノートといえど会場あちこちを走り回るわけにはいかない・・・(走り回るというのは、文字通り本当に走りますから。)。携帯のメールも地下だったり電波シャットアウト構造の会場でダメだったり、そもそもリアルタイム性をある程度要求するので、遅延は2〜3秒が限度な用途ばかりだし。
その日はじめて会う人と使うことも多いため、マルチプラットホームであることがものすごく重要なんです。平均して、マックユーザが7割、ウインドウズユーザも7割(両刀がけっこういる)、iphoneユーザが1割くらいの業界です・・。
iphoneから取り急ぎのメッセージ内容は英語だけでも完結できるし(むしろ変換なんかしてるヒマがない)、アルファベットくらい手書き入力できるとなおいいし、あるいは定型文タッチでも可能なのですが、PC側も片手だけでタイプすることが多く(手を取られているので)、ペンタブやワイヤレスマウスで手書き入力したり、マウスジェスチャーで送信できるメッセンジャーがあればいいなあなんて思っているのですが、なかなかみつかりません。(ウインドウズメッセンジャーの手書き入力可能なのがありましたがマック版には実装されていないし、そもそもWANに繋がらないとローカルネットワークのみじゃ使えない)。NINTENDO DSのピクトチャットが現状もっともマシかもしれませんが、PCと繋がらないことや、iphoneよりもさらに電源の持ちが悪いし電波の受けも弱い・・・。
長い分をふたつも投稿してしまいましたが、声を出しても聞こえない、声が出せない、耳元で大声で会話しあったりジェスチャーや筆談でないと話にならないような場所でコミュニケーションがとりたいという需要がものすごくあって、ノートパソコンの所持率については9割以上のため、「IPメッセンジャー」や「みんなのチャット」をはじめとするクロスプラットホームのコミュニケーションツールについてはつねづねかゆいところに手がとどかない感じで悩んでいます。
PC自体も正面に置いていることは少なく、視線の端に入っているかどうかという感じなので、メッセージ着信と同時に画面が激しく点滅するというような工夫も欲しいです。
こういうことで真剣に悩んでいる業界もあるんだということを知っていただければいいなと思って書かせていただきましたしだいです。
@Thailand Kickboxer さん
コメントありがとうございます。
いろいろとご苦労されている様子が伝わってきましたし、想像もしない状況でIPMsgが使われていることにも驚きました。
ただ、お話を伺う限りでは求められる機能や状況はかなり特殊で、欲しい人には強いニーズがあるものの必要とするユーザがとても少ないように個人的には感じられました。IPMsg で想定されている標準的な使われ方ではないと思います。また IPMsg は相手に届くことも相手が通信可能範囲にいることも保証されてはいませんので、そういった一刻を争う場面では信頼性に問題があるのではないかと想像します。
業界とおっしゃっているところから業務あるいはなんらかのサービスを提供されているのだと思いますが、特殊用途ということを考えると専用のソフトウェアを開発あるいは開発委託されることをおすすめします。強いニーズがあるのであればそこには(市場原理に基づく適正な価格で)製品が提供されるのが普通ですし、ないのであれば、機材のひとつとして専用ソフトを開発されてご自身で利用しつつ、それを外販されることで業界全体も助かり、開発原価(初期投資)の回収も期待できます。
もし IPMsg をベースに開発されるのであれば、幸いにも IPMsg はプロトコルもソースコードも公開されていますし、ライセンス上もそれをベースに商用利用や改造することも認められています。ただ、基地局PCとおっしゃるサーバがあるようなので、IPMsg 以外の仕組みで定型文入力や一斉通報、オンラインオフライン(通信可能か)の監視などを実現されるほうがよさそうに思います。
個別の事情はわからないので見当違いなことを申し上げているかもしれませんが、既存ツールでニーズに合わないのであれば専用用途のソフトウェアの開発が妥当かと思います。
残念ながら、私たちにはそんな潜在的な予算はありません・・・。私たちの業界に企業然としたものはなく、その場その場の(現場監督、照明、音響、映像、その他アシスタント等)エンジニア集団という感じです。
せいぜい1現場につき、少なくて3人、だいたい5人組程度、多くても10人未満のネットワークです。初対面の人、その後二度と会わない人、などいます。基地局と書きはしましたけど、あくまで、その言葉の意味は、移動しないものという意味なだけです。それも、誰かの私物のPCやmacです。会社備品とかではありません。
現状、予算がつくのは、トランシーバーかインカムです。トランシーバーは相手が通信可能範囲にいるかどうか分からないし、イヤホンを外してしまっている事もあるし、聞こえていないこともしょっちゅう。インカムも、動けませんから、動くときは外してしまっています。また3500円×台数×日数の予算は削減されてしまうことも多いです。ツールが与えられない場合は自前で用意するのみです。叫んでもダメな場合や体裁上、叫ぶというような下品な行為をしてはダメな場合は、段差があろうが迂回があろうがとにかく100m程度なら走って耳元へ到達するとか、携帯のメールを使用するとかです。通信費なんて個人もち、そんな業界です。
トランシーバはともかくインカムは、業界専用ツールで、過去には贅沢に予算があったテレビや舞台業界からの遺物ですが、コンサート向きではありません。まずあちこち走り回るのに不便。それからコンサートの音響エンジニアはきちんと両耳で生の音を聞く必要があるのでインカムやトランシーバーなど耳を使う通信手段はそもそもつけてはいられません。(与えられても外してしまっていますからそこへ連絡がつきませんし、その人のかわりに通信だけする人を1名増やすような予算はまちがってもつきません)
> IPMsg は相手に届くことも相手が通信可能範囲にいることも保証されてはいませんので、そういった一刻を争う場面では信頼性に問題があるのではないかと想像します。
保証などは不要です。照明や音響や映像の業務機器もその先の機器が正常動作しているかどうかなんてトラブルが起きるまで分かりません。それはセットアップして運用することを確実に行えばいいだけです。そもそもワイヤレスマイクの混信頻度と比較して無線LANネットワークのほうが数倍安定していますし、有線LANはさらに確実です。IPメッセンジャーのクロスプラットホーム性とコンピュータスペックを選ばない点、そして通信安定度は現状ピカイチなのは経験上確かです。
前回までつらつら書きましたのは、全て要望というわけではありません。ただiphoneというものにその可能性を少し見いだしただけで、またこんな使われ方がしてるということを知ってほしくて書き連ねただけです。基本的にはIPメッセンジャーとiphoneで文字通信ができるというだけでまずは満足です。
いちばんもどかしいのは、30mむこうにいる相手の顔が見えているのに、会話ができない、細かいニュアンスがジェスチャーだけでは伝わらない、走っていかなきゃならない、何往復も、ということです。まずはそれを解消したい。