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Mac OS X Public Beta

2009 年 09 月 28 日 コメントをどうぞ コメント

連休から引き続き片付けをしていたところ、懐かしいモノ発見。

osxpb-title

ちょっとぐっとくるものがあったので思い出話を。

前世紀のお話。

Mac OS X Public Beta というのは、最初の製品版であった Mac OS X 10.0 が発売される前に販売された公開ベータです。記憶が定かでないので調べてみたところ、米国では 2000 年 9 月、日本では 2000 年 10 月に販売されています。20 世紀末ですね。実費販売ということで 3,500 円で、後に 10.0 の正式版(2001 年 3 月発売)を AppleStore で買う時には値引きしてくれたはず。

当時の Mac ユーザは、Copland や Gershwin の頓挫で何度も夢見ながらいつまでも果たされずにいたモダン OS 化が、Jobs の復帰と NeXT の買収(どっちが食われたのかは別として…)によってついに果たされるということで期待していました。いや、安定することは望みながらもユーザインタフェースが変わることには否定的な人たちも結構いましたし、開発者は API の互換性がないために移行に積極的でなかったり反発していたり(それで Carbon が用意されることになりました)、期待と不安が入り交じった状態だったという方が正しいかもしれません。私は当時会社では Windows NT 4.0 か Windows 2000 を使っていて、ユーザとして NT 系 OS の安定性は本当にうらやましかったので OS X には猛烈に期待していたと記憶しています。

日本では新宿の高島屋で販売されたので、発売日に行列に並んで買いました。ニュースリリースを見る限りオンラインの AppleStore でも販売されたようなのですが、とにかくその日に手にしたかったのだと思われます(笑)。奥さんにはぶーぶー言われた記憶があるんですが(何か別の用事があったように思います)、「Mac ユーザが近代的な OS を何年待ち望んだと思ってるんだ、なぜそれがわからん」と痛々しいマカーぶりを発揮して強行したはず(笑)。

パッケージ。

パッケージは A4 サイズの薄っぺらいファイルの形で販売されました。

osxpb-front

裏には Apple らしい言い方でぐっとくることが書いてあります。

osxpb-back

当時は Think different という標語が使われていまして、コマーシャルや広告などもかなり印象的なものでした。懐かしいですねぇ。
開くとこんな感じです。

osxpb-open

左側にあるメッセージはこんな感じで。実際には予告していた 2000 年中に発売できなくなって苦肉の策で出された Public Beta なわけですが、お得感を醸し出す強気のメッセージです。

osxpb-message

CD はこんな感じで、たしかに Public Beta と書いてあります。10.0 正式版、10.1 までの OS ディスクはこのデザインでした。

osxpb-disk

ちなみに、Mac OS X 10.1 の無償アップデート版が一時期店頭で配布された時も、これとほぼ同じ形態のパッケージでした。

実際のところ。

もちろん、私も喜びいさんで早速インストールするわけです。で、がっかりします。

誰もが口をそろえて言ったことは、「未完成」「重い」「(Classic) MacOS の方が使い勝手がいい」と言うことでした。他にも「ラベル(アイコンへの色づけ)がない」「スプリングローデッドフォルダがない」「Dock 使いにくい」といった言葉も嫌と言うほど見ました。Classic MacOS の Look & Feel のようなかわいさがないということを嘆く人も多かったように思います。

私自身の感想としても、実用レベルじゃないというのが偽らざる第一印象で、入れて使ってみようにも、日常的な利用もままならない(アプリが動かない、使い勝手が悪い、よく落ちたり固まったり、画面が乱れたり)という状態で、遊んでみる以上にはならず、MacOS 9 を常用する生活に戻りました。

当時 Public Beta を試したのはほぼ全員 Classic MacOS のユーザなわけで、そういう意見が大半をしめたのも仕方のないところかなあ、と思います。

振り返ってみれば。

そして今ほぼ最強(個人により最強の定義は違うでしょうから、私にとって)の OS となった Mac OS X があるからこそ考えられることですが、バージョンアップごとに OS の動作が軽快になり、順調に機能を充実させてきた Mac OS X がここから始まったのだなぁ、と思うとなかなか感慨深いものがあります。もちろん Mac OS X は OPENSTEP をベースにしていますので最初の最初というわけではないのですが。

OPENSTEP ではなくWinNT 、BeOS 、Solaris のいずれかが選ばれて(実際に Classic MacOS の代替 OS のベースとして検討と交渉が行われた) Jobs も復帰していなかったとしたら、経営的な観点も込みで考えるとあまり明るい予想は立てられませんね….。 OS だけであれば Be もよかったでしょうが、Be を選んた場合、ガゼーが加わっても加わらなくても Apple の経営はたぶん混沌とし続けたように思います。

今回 Public Beta のパッケージを手にとって、いろいろなことを思い出しました。Rhapsody とか、YellowBox と BlueBox とか、ギル・アメリオとか、エレン・ハンコックとか、 CHRP アーキテクチャとか、いろいろ。考えてみると熱かった。いつか iPhone のことを同じように「あれは熱かった」と懐かしく思い出す時が来るんでしょうね。

しかし、Mac OS X はいつまで使われ続けるんでしょう。今は想像もつかないですが、コンピューティングの進化はいつか Mac OS X のことも懐かしい記憶に追いやる日が必ず来るわけで。

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