IP Messenger for MacOS X 開発再開します
IPMessenger というフリーウェアがあります。IPmsg とか ipmsg とか呼ばれることもあります。
以前そのソフトの Mac OS X 版の互換アプリケーション(クローン)を作って公開していたのですが、もう 6 年近くも放置してしまっていました。最新化しなきゃ最新化しなきゃと思いながら、ついつい。
今回ちょっときっかけとなるような出来事があり、開発を再開できそうです。
IPmsg とは。
簡単にいうとサーバ不要でLAN内で使う IM (インスタントメッセンジャー)です。Windows 版がとても有名なソフトです。ちょっと今時の IM とはテイストも考え方も違うのですが、特に社内IMとしては一定の地位を築いていて、今でも使われているところは多いようです。
かつて(20世紀の話ですが)は社内で IPmsg が使われると社内ネットワークに負荷がかかる、と企業の情報システム部門に目の敵にされて使用禁止ソフトに指定する会社がよくあったと聞きます(今でもその名残で禁止ソフトにリストされていたりもするようです)。今ではネットワーク負荷がむしろ軽いソフトに分類されると思います。
また、仕事してるように見えておしゃべりできてしまうことから禁止されていたりもしたようですが、今はどれだけ Web ベースのサービスがあるか考えると隔世の感がありますね。むしろ、IPmsg は特殊なことをしない限りLAN内で利用するため、社外のネットワークに出ていかないということでセキュリティ上(コンプラ面)も安心なソフトであったりします。
Mac OS X 版つくった。
私も会社で Windows 版の IPmsg を利用していたので、Mac OS X が出てきて個人的に(当時 Mac 向けの開発の仕事などありませんでしたので) Cocoa や Objective-C に興味を持ったときに、勉強を兼ねた題材として、IPmsg のクローン開発を選んでみました。
2002〜2003 年ごろ、Mac OS X は 10.1 または 10.2 Jaguar です。IPmsg は、本家の Windows 版のソースコードが公開され、通信プロトコル仕様書も開示されていることから、UNIX や Linux 系を中心に多数のプラットフォーム向けのクローンがたくさんあります(本家サイト参照)。 Mac については、Classic MacOS (MacOS 9 以前)版はありながら Mac OS X 版がなかったのも、やる気を出させてくれた理由の一つです。
当時は日本語の公式の開発ガイドなんてあるわけもなく、書籍と言えばヒレガス本(一度絶版する前のやつ)か荻原本(一度絶版する前のやつ)かぐらいで、Web 上は MacOS X の前身だった NeXTSTEP あるいは OPENSTEP のニッチな Cocoa 解説が中心だったりして。大半は英語サイトを調べることになりましたが、試行錯誤して調べていくのはそれはそれで楽しい感じでした。
考えてみれば Mac OS X のアプリ開発なんて、iPhone が現れるまではずっとそれと大差なかったかもしれません。実際これらの本が復活したのは iPhone のネイティブアプリ開発ができるようになったタイミングだったと記憶します。
↓ヒレガス本は今では再発売されています。
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↓当時の荻原本は絶版です。
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↓表紙を買えて再発行されたものも絶版です。
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↓Objective-c 2.0 に対応して最新化された改訂版が手に入ります。
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放置(正直契機わからず)。
0.9.0 をリリースしてだいたいそこそこのモノになって以降、開発が進まなくなりました。理由はよく覚えていないのですが、公開していたサイトには「仕事が猛烈忙しくなって」と書いてありました。本当にプロジェクトが火を噴いたのかもしれないですが、よくあるパターンですがそれなりに形ができあがってきたところでモチベーションが下がってしまったこともあったのかもしれません。正直思い出せません。
しばらく(年単位なのだけど….)は放置していても特に問題にはならなかったのですが、Mac OS X 10.5 Leopard が出てきたところで、「起動できない」「よくクラッシュする」「添付ファイルが送れなくなった」などなど不具合の連絡がポツポツと来るようになりました。OS の内部構造が変わったこともありますが、Mac の CPU が PowerPC から Intel に変わっていたことも関係あったようです。
とりあえず最新の開発環境でビルドしなおすと、だましだまし使える程度にはなっていたので、0.9.1b1 というのを出して問い合わせに対してそれを紹介するという対応をしました。
放置と対応の悪さは自分でも気になっていたので、このサイトを始めたときに IPMsg はこちらに引っ越ししてきちんとメンテして、できれば Leopard 以降用にスクラッチからもう一度作り直したい、と思っていました。….思ってはいましたが…..きっかけが、ね。
とつぜんやる気出すことになった。
ことのきっかけはついったーでの @masuidrive のこの発言。
ちなみに @masuidrive は、あの iPhone 3G 立ち上げ直後から人気のある写真ソーシャルサービスの PhotoShare のサーバ開発をされている Ruby の達人です。あー、ちなみに私は Ruby 界隈明るくないです。
私は直接 @masuidrive はフォローしていなかったのですが、その RT (ReTweet)が自分の TL 上に流れてきて目にとまりました。RT すごいですね。
私はフォローしている方も 200 人程度(自分的には結構な人数)だし、とても TL を全部見るなんて無理で、たまたま一息ついた時に流れているものを多少さかのぼって見ると割り切っています。たまたま見てきたときにそれが流れてきたのはすごい偶然です。見逃す確率の方が圧倒的に高かったです。
あまりの偶然にちょっとテンション上がってしまい、私も RT しました。
それに対して、反応されるとは思っていなかったのですが @masuidrive が反応し、開発再開しなよ、じゃあ頑張ってみるッスという流れになりました。また、検索してみると結構現役という方々がいるではないですか(Windows 版のことを言っている人も多そうだけど)。ついったー界隈でこれだけいるというのは、実際にはもっといると考えて良さそうです。やる気出てきました。さらにたたみかけられ、退路を断たれました。
このあと、短時間でばたばたとフォローされたメールが飛んでくるという経験を初めてしました。
という流れで、もともと考えていたことですし、これをいいきっかけとしてタイムリーに開発してけるよう努力しようと思います。
とりあえず 6 年間絶賛放置中だった配布ページは、このサイトに移動してこようと思います。取り急ぎ、配布ページに 0.9.1b1 を露出させました。
IP Messenger for MacOS X
※サイト移動したためリンク削除→新配布ページ
また近いうち、ざっくりとした開発のプラン(心づもり程度ですが)など書きたいと思います。